乾癬の痒みを理解する

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乾癬の痒みは掻けば掻くほど悪化する。皮膚を掻くと何が起こっているのか?


kaku

痒みを感じて皮膚を掻く掻破行動を行うことによって、皮膚の下では一体何が起こっているのでしょうか?

 

皮膚の下では目に見えないレベルで様々なことが起こっており、それによって痒みが増大したり皮膚疾患が悪化するなどの見た目のトラブルへと繋がります。
では、皮下でどのような事が起こっているのか段階別に見てみましょう。

 

第1段階:皮膚のバリア機能の損傷

掻破行動によって皮膚のバリア機能は損傷を受けた状態となります。

 

軽く掻いた程度でもその部分のバリア機能は損傷を受けてしまいますし、仮に出血を伴うような場合はバリア機能のある角質層だけでなく表皮に到達するほどの損傷が起こっている状態と言えます。

 

第2段階:炎症反応の元=サイトカインが放出される

表皮が傷つくことによってサイトカインという物質が分泌されます。

 

分泌されたサイトカインによって炎症反応が引き起こされますが、これはサイトカインがそもそもウィルスなどの外敵の侵入を免疫細胞へ伝達し、撃退するための重要な仕組みです。
表皮に到達しないような角質層の掻破であっても、サイトカインは放出されます。

 

第3段階:痒くなかった場所まで痒くなる!軸索反射

痒いからと言って掻きつづけていると、最初痒かった場所の周囲までもが痒くなることがあります。
この現象を引き起こしているのが軸索反射と呼ばれるものです。

 

軸索反射によって痒みの周囲に神経ペプチドが遊離してしまい、痒みの範囲が広がるのです。
痒みの場所が広がることで、掻破行動の範囲が広がって行きどんどん悪化してしまうという悪循環に陥ってしまいます。

 

掻けば掻くほど悪化する乾癬の痒み

痒みというのは掻かずに我慢していれば、自然と治まります。

 

しかし掻くというのは我慢が難しい欲求であり、どうしても掻いてしまいます。
痒みは強い刺激を与えることで、一時的に痒みは治まることがありますが、根本的に痒みが取り除かれたわけではありません。

 

耐え難い乾癬による痒みは掻けば掻くほど悪化し、更なる痒みと炎症を引き起こしてしまいます。
炎症範囲が広がりながらも、痒みは治まらないという悪循環に陥ってしまうのです。

 

どうして痒みによって炎症が引き起こされるような仕組みになっているかというと、体の組織が傷ついた場合などにそれらを除去し再生しようとする生体防御反応なのです。

 

防御反応とはいえ皮膚炎や発疹ができてしまっては困ります。
見た目の問題もありますし、痒みや炎症が気になって集中できないこともあるでしょう。

 

乾癬になれば、痒みで夜眠れないといった問題も抱えてしまうことがあり、生活の質にまで影響するほどです。

 

炎症の広がりを抑制、治療するためには痒みを鎮めることが何よりも重要になります。
痒いのを掻かなければ、自然と炎症は治って行くからです。

 

そこで使用される薬が抗ヒスタミン薬やステロイド剤になります。
掻かないこと!と言われても自分の意志ではどうすることも出来ない状態であれば、これらの薬を使って炎症を鎮め痒みを除去するのもひとつの方法でしょう。

 

しかし、ステロイドだけに頼ることは絶対にやめたほうがいいと思います。
ステロイドを使いながらでも構わないので、同時に食事改善をはじめとする腸内環境の改善を行ってやることが非常に重要です。

 

絶対に勘違いしてはいけません!ステロイドは乾癬の治療薬ではありません。
限られた期間ではありますが、「乾癬による痒みや鱗屑を抑え、生活の質を向上させるための道具」だと理解してください。

 

そしてステロイドが効果を発揮している間に腸内環境を改善してしまう意識をもたなければなりません。

 

繰り返しになりますが…
ステロイドなどで痒みを抑え、ある程度の生活の質を保った状態で、腸内環境の改善によって乾癬を寛解させていくことが大事なのです。
また炎症は見えている炎症だけでなく皮膚の下の見えない炎症があることを忘れてはなりません。

 

「乾癬の皮膚が痒い」という状態は、体の表面が痒いわけではなく、体の内側から来るのです。

 

痒みを痛みで帳消しにはできない

虫刺されがあると刺された場所は赤く膨らんだりして痒みを発します。
そのまま掻き毟ってしまうと、皮膚を傷つけてしまいカサブタになるなどして治るまでに時間がかかってしまいます。

 

痒みを抑える方法としてよくやるのが、痒い場所に爪で×のようなマークを付ける方法です。

 

この方法は痒みよりもより強い刺激を与えることによって皮膚からの刺激を分散させようとするもので、非常に理にかなった方法と言えます。

 

しかし痒みと痛みは別の神経回路で脳へと信号が送られていることから、一時的に痒みが消えてもすぐに痒いという感覚は戻ってきます。
痒みとは弱い痛みではなく、痛みとは別の感覚だという事を知りましょう。

 

分かりやすく言うと全身の皮膚、まぶた、眼球の表面、鼻の粘膜は痒みが発生しますが、内臓に痒みは発生しません。
内臓は痒みは感じませんが、痛みなどの痛覚は存在しています。

 

痒みは痛みと非常に似た感覚ではありますが、違う感覚です。
痒みを痛みで帳消しにできないのは、そのためです。
しかしながら全くの無関係ではなく相互に関係しあっていると言われています。

 

痒い場所を爪などで強い痛みを与えることは、皮膚にとってダメージになるだけで痒みそのものは解消されませんので、他の方法で痒みを鎮めることを試しましょう。

 

痒い場所を掻いて痛みを覚えているのに、痒みがとまらずに掻きつづけてしまう…
そんな負のスパイラルに陥らないためにも正しい痒みコントロールが必要です。

 

※このサイトは元乾癬患者の実体験をもとに
皮膚科専門医の監修の下、記事をチェックしています。

中村皮膚科 中村医師
この記事の監修:中村皮膚科 中村医師

 

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